オリーブの花咲くお箸

材質:パレスチナのオリーブ材
オイルコーティング加工/無添加/無農薬/アラビア語デザイン仕様

販売予定価格(調整中)

・大きな手用/23センチ
・小さな手用/22センチ
・(お子様用・お弁当箸/18センチ)
・(菜箸/30センチ)

作り手の物語

「代々の伝統の火を絶やさずに」

作り手 マジェド・オデーさん

”私の家族は昔からオリーブの木工職人でした。ここパレスチナでは、占領の影響、不安定な政情により多くの人が教育を続けられなかったり、専門職に就けなかったりするなか、私自身も工学者や彫師になる夢を諦めた過去があります。しかし、父親の仕事を学ぶうちオリーブと向き合うことは私の癒しの時間になり、工房を持つ今では全エネルギーを注ぎ込むものになりました。

工房は、家族ぐるみで運営しています。英語学を学んだ娘、観光学を学んだ息子、そしてアラビア語学を学んだ別の息子がここで伝統文化を守る一方、それぞれの専門領域でも活躍しているのはとても有難いことです。

手の中でオリーブの塊が姿を変えていく様は見飽きません”

※制作中のサンプル

オリーブとパレスチナの結びつき

オリーブは紀元前6000年頃にはパレスチナ周辺でも栽培されていた、中東発祥の植物です。後にフェニキア人が、南ヨーロッパに種を持ち込んだとされています。生育に長い時間かかり植物としても数千年生きることから、パレスチナの人の土地への愛着を示すアイデンティティとして親しまれています。

現地を訪ねると、郊外のいたるところにオリーブ畑が見られ、実にパレスチナの60%以上がオリーブ畑なのです。そのオリーブの段々畑の景観が2014年には世界遺産に認定され、観光資源としても重要になっています。

10万世帯の農家さんがオリーブオイル生産を主な収入源にしています。

オリーブは、使えない部位が無いエシカルな素材です。オリーブオイル(食用、化粧用、マッサージオイル、宗教的利用など)、実のピクルス、生育に不要な枝の木材利用、お茶・・・加えて家族の集いの場、旅人が収穫作業を通してコミュニティに参加できる場でありながら、強引な道路作り等の犠牲になる樹々が後を絶ちません。半世紀で約80-100万本が失われました。

架け箸では、農家さんから職人さんまでを結ぶ物語をここでお話して、お箸の旅路に思いを馳せてもらえたらと思っています。

※農家さんへの取材はオンラインで困難な為、現地入りしてからの聞き取りとなります。

新しいことに挑戦して、自分たちの暮らしを守る

お箸づくりを二つ返事で引き受けてくれた裏には、こんな物語がありました。

創業/労働環境の改善へ

同僚とフェアトレード店舗で、バスマさん

HLHC(彼女の勤め先)は地域の人の雇用をいかに守るかをテーマに1981年に創業しました。中東初のフェアトレード認証団体でもあります。

フェアトレードには10の原則があり、公正な価格の保障やジェンダーの平等、労働環境の改善などが柱になっています。しかし発足したときは、この労働環境の改善に多くの困難がありました。

そもそも、ずっと慣れているやり方を変える必要性をわかってもらえなかったり、初めてのことでノウハウがなく全く手探りの取り組みでした。

木材の加工では粉塵が出るので、その健康被害をなくすために塵を集めるポンプを取りつけ、一箇所に集めたり、塗装には専用の設備を造ったり。

最初は理解を得られなかった取り組みも、成果が見え始めると別の団体からノウハウを請われたりするようになりました。

こうして、HLHCでは労働環境の改善にかなり本腰を入れて取り組んでいるのですが、何世紀も続いてきた地域の伝統工芸(貝の真珠層の加工やオリーブの木工品)は危機に瀕しています。

公正な価格の保障と移民問題

特に貝細工は元々イタリアの人がこの土地にもたらした産業なのですが、近年環境問題や職人の健康の問題から縮小し、50ほどあった工房が10ほどになりました。

オリーブの木工品の課題は価格競争です。中国などからの安価な製品に押されてしまう地元産の競争力を高める必要があります。これについては観光庁などと会議していて、抜本的な解決策は見つかっていないのですが、

私は中国がパレスチナで商売するのは止めないし、それをどうこう言うのはフェアではないと思っています。けれど、製品にしっかりとマークをつけること。どれが中国産でどれがパレスチナ産かがわかり、消費者が選べるようになることが大事です。

HLHCのような団体がきちんと原価計算などを行い、労働に公正な対価を払うことで、作り手も安心してこの土地に暮らし続けることができます。今ではこうした手工業は地域の人の収入源のひとつになっています。

公正な価格で移民を防ぐのです。

なぜなら移民はパレスチナが抱える大きな問題だから。

HLHCではキリスト教徒とイスラム教徒が協働していますが、不安定なパレスチナの市場を見限り、ヨーロッパに活路を求めてキリスト教徒はどんどん移民してしまっています。10年~15年経てば、キリスト教徒のパレスチナ人はいなくなってしまうと思っています。

ここベツレヘムはキリストの生誕の地です。単に宗教的ではない、特別な空気感と土地の歴史が内包されています。”聖地”をどうやって管理するのか。大金をはたいてやってくる世界中の巡礼者のためにも、キリスト教徒としてここに留まりたいのです。

自分たちで変える努力

先日、オランダのとある団体とデザインを共同開発して、コンテストで受賞しました。

出典:Fair Trade – STACKOLIVE | Studio Fanny Hofstra – DESIGNwww.fannyhofstra.com

パレスチナの国内市場は政情に左右され非常に不安定です。どうしても、海外への輸出が肝要になってきます。今でも常時取引がある団体が複数あり、必ず次の取引があるというのは職人の安心に繋がっています。(とはいえ、輸出が容易なわけではなく、ブローカーを介す必要がありますが…)

こちらのデザインに取り組んだ当初も、オリーブに塗装は難しいなど否定的な風潮はありました。しかし、労働環境も作る製品も、変える努力をしないといけません。

パレスチナには、平和と生きる権利が必要です。

外から来る人には自由があるのに、私たちにはない。これがパレスチナに生きる私達独特の感覚です。でも、ただ諦めてしまっていいのか。

自分たちで変化を起こす。そして、平和と権利が保障されたパレスチナをつくっていくのです。

(バスマさんの過去のインタビューを架け箸が邦訳・執筆したもの)


アップサイクル×伝統の織物

素材:地元の家具工場から出る端切れ、伝統織物
作り手:アイシャデザインの5人の女性

「デザインを形にする工程に心奪われます」

作り手 アイシャ・ドゥウェイカットさん

日本の皆さん、こんにちは。

デザイナーで、エコフレンドリーを心がける起業家のアイシャ・ドゥウェイカットと申します。
Aisha Designは銀やオリーブの木を材料に、パレスチナの伝統紋様を落とし込んだアクセサリーを製作するブランドとして、2013年に創業しました。

2015年に、事業領域は布製品にも広がりました。布地の残りが使われないまま蓄積されることや、人々の消費の量が多すぎることをなんとかしていきたいと思ったからです。Aisha Designでは、こうした布地やアップサイクルの技術で雇用を生み、パレスチナの地元の職人たちがその技術や能力を活かせるようにしました。

そして、伝統文化の持ち味とアップサイクルという価値を融合させた、環境に配慮した素材を推進しています。

私個人としては、デザイナーとして製品づくりに関わっていると時を忘れます。
どんなに時間がかかろうと、コンセプトや素材、形やシンボルを考えてデザインにし、それを現実の製品に形作る工程は心が熱くなります。

皆様にお届けできる日を楽しみにしています。 

●アイシャさんのロングインタビュー(2021年2月撮影)

パレスチナ刺繍の奥深さ

パレスチナで営まれる刺繍は、紀元前6000年の手刺繍にまで遡ります。20世紀までは草木染め、織もすべて手織りのものでした。この地域のほとんどを占めた農民女性の日常着であり、晴れ着としても重厚な刺繍が華を添えてきました。刺繍の腕前は女性のコミュニティでの地位とは切っても切れない関係にありました。

様々な王朝の支配を受けてきたこの地域では、従って各支配文化の衣装の影響を受けて土着の装いも発展してきました。そして、800あった村それぞれに固有のデザインや組み合わせがあり、他村との差異を競っていたのです。同じ植物を模した紋様でも地域によって呼称やモチーフの表現が異なっていたりして面白いのも特徴です。

加えてパレスチナに隣接する地域からの影響もあり、シリアや東欧の衣装にそれを見とめることが出来ます。